ガラパゴス

法政通りにある自家焙煎屋でブレンドの焙煎を頼んだ。待つ間、ガラパゴスを淹れて出してくれた。年の初めから昼食後にちょっとずつ読んでいる堀江敏幸さんの「河岸忘日抄」の主人公が彼の住む船の大家へのお土産としてガラパゴスを買っていた。

ほほう、これがそのガラパゴスかね、と大家は世話役の女性が淹れてくれた彼の手土産をちょっとだけ含んでその香りをしばし味わってから、濃い茶色の唾液を勢いよく飛ばして、なかなかいい、これまで知らずにいたのがもったいないような、不思議な味わいだな、甘くて、こくがあって、ほんの少し苦味と酸味もある、果物の味も混じっているようだが、きみは、どう思うね? 芳醇な赤ワインのようじゃないか、ありがたく頂戴しておこう。

少し甘みのあるさらっとした味。くどいモノを食べた後にいいかも。
河岸忘日抄