いつか王子駅で

数日前、かえるさんの日記に堀江敏幸さんの「いつか王子駅で」について書かれてあった。
この作家は知らなかったが、以前王子駅のそばに住んでいたこともあり新潮文庫の新刊の中吊りでこの書名を見たときから気になっていたので購入。

いつか王子駅で (新潮文庫)

いつか王子駅で (新潮文庫)

飛鳥山の台地と東に隅田川〜荒川へと広がる低い土地。段差に沿って走る京浜東北線東北新幹線の高架。飛鳥山から弧を描いて駆け下り直角に曲がる都電。下町でもない郊外でもない文明開化の工業地帯であるあのあたりの臭いが漂ってくる。
「私」の周りの人たちとのいまの話しといろんなきっかけで思い出す以前読んだ本の内容や過去の出来事が入り乱れる。確かにアタマはこうまわっている。
「変わらなかったことが結果としてえらく前向きだったと後からわかってくるような暮らし」か。こういうことはあとから振り返っていえることで憧れてやることじゃないな。
お酒を飲んだ後にコーヒーを飲んだことはなかった。こんどやってみよう。


通勤のとき読み、読み終えたのは丁度地下鉄が王子駅に着いたときだった。できすぎた偶然。
折に触れ読み返したくなる1冊。