歴史の歴史

ホテルに荷物を預け、国立国際美術館杉本博司さんの「歴史の歴史」展。まずはざっと展示を見る。杉本さんが物々交換して集めた古今東西の歴史的な物品が並ぶ博物館のような展示。学生の一団が展示を見ていたが、静かに、興味深げに展示物を見ている。ふつうの写真展ではここまで集中させられないのでは。いちどロビーに出て、2時間並んで整理券を貰い杉本さんと中沢新一さんの対談を聞く。ミクロからマクロへ。この展覧会は写真展ではない。いい意味で。理解し評価し評論できるのは中沢さんくらいか。対談の後、再度展示を見る。話しを聞く前と後では見え方が一気に変わった。最新シリーズ「放電場」は撮るべくして撮ったんだろう。実際はカメラを通していないがあえて撮ると書いてみた。きっと杉本さんはカメラで撮影して作品を作ることはないのでは。いまでも肩書きは「写真家」ではないし。展示全体に仄かに漂うデュシャンの影。

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